悪霊ピー
仏教国タイにあっては、仏教やヒンズー教が、入ってくるまえから信仰されていた土着のアニミズムがあり、それは、精霊ピーと呼ばれます。精霊ピーは、人間の対処の方法によって、善にも悪にもなり、善のピーは人びとを守る守護神であるのに対し、悪のピーは、人にさまざまな災いをもたらします。
悪霊のピー
ピーの中には、人間に対し攻撃的に危害を加えてくる者もいて、これが、悪霊のピーといわれるものです。事故、疫病、産褥などによって、異常死した霊は、祖霊になることができず、再生もできずに、いつまでもこの世にとどまり、危害を及ぼすと考えられていました。また、悪霊のピーには、異常な死に方をした人のピー(コレラの悪霊や産褥死した人のピーなど)や、異常な欲望、あるいは、形をもつピー、その他、動物の形をした、ピーなどがあります。
タイでは、生まれたばかりの子どもは、ピーの子どもと考える、民間信仰があり、生後3日目までは、ピーの子どもで、ピーが、自分に似せてかたどった粘土が、母親の胎内に入ることによって、懐妊するという考えです。子どもは、生後4日目にして、初めて人間の子どもになるので、したがって、生まれてすぐ死ぬ子は、ピーが連れ去ったと考えられております。そのためタイでは、わが子が、ピーに連れさられないよう、子どもに、蛙、犬、豚、水牛といったニックネームをつけ、そうすることで、ピーの目をあざむこうとするのです。
無事、生後4日目を迎えることができ、ピーの所有を離れた子どもには、クワンと呼ばれる生霊が宿るとされております。夜中や、水のあるところに、鬼火としてあらわれるピーがいて、このピーは、旅人の行く手を迷わせるといわれますから、要注意です。そして、これらを撃退するには、呪術的な手法により、サンガの提供する、プラ・パリットやモー・ピー(呪医)、コン・ソン(依代)です。
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